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日本語教育学会について

会長挨拶

会長就任のごあいさつ

公益社団法人日本語教育学会 会長 西口 光一

 2023年5月28日の理事会で会長に選出されました西口光一です。
 日本語教育学会が公益社団法人となってこの3月末でちょうど10年です。本学会の歴史は古く、1962年の「外国人のための日本語教育学会」が起源です。そして、1976年に、外務省と文部省(当時)の許可を得て、社団法人となり、名称も現在の日本語教育学会となりました。わたしが日本語教育学会に入会したのは、社団法人となって間もない1980年でした。当時、霞ヶ関ビルの隣に国立教育会館というのがあって、そこで研究例会や「日本語教育を語り合う会」が頻繁に行われていました。「駆け出し」のわたしは、日本語教育を知ろう、日本語教育研究を学ぼうと思ってほとんど毎回参加していました。当時の会員数は、おそらく現在の10分の1くらいでしょう。学会に行くとだいたい同じ顔ぶれの方々にお目にかかりました。2013年に公益社団法人となった日本語教育学会は、現在約3,500名の会員を擁する大きな学会となっています。
 こうした歴史を有する日本語教育学会は、従来より、学術研究団体として日本語教育のさらなる発展と日本語教育に関わる学術研究の振興を図るとともに、教育実践や研究活動から得た経験、知見、洞察、視野などに基づいて社会に貢献することが求められてきました。そのような日本語教育学会の立ち位置や使命等を明確にするために『公益社団法人日本語教育 理念体系』がまとめられ、公表されています。現在の本学会は、この『理念体系』で示された方向に沿って、各種の事業が設定され、組織が整備され、運営されています。
 現在わたしたちは、2015年から2020年に第一次中期計画を実施し、第二次中期計画(2021年-2024年)の中間点にいます。そして、各年度で、年度事業計画を策定して、各種の事業や活動を運営しています。このように、『理念体系』に基づいて、中期計画、年度計画というふうに計画的に学会運営をすすめているのは、言うまでもなく、本学会の使命を着実に果たしていくためです。
 『理念体系』では「人をつなぎ、社会をつくる」というスローガンの下に本学会の使命が謳われています。そして、以下のような全体目標が掲げられています。

 ・日本語教育の学術研究を牽引し、研究者を育成する。 
 ・日本語教育の実践の創造と深化を共有し、実践者の育成を図って、学習環境を整備する。 
 ・日本語でコミュニケーションと相互理解を深め、人生を豊かにする。 
 ・日本語でともに生きる豊かな社会を創造する。 
                              (『理念体系』のp.13)

 『理念体系』や第二次中期計画などはすべて、昨年リニューアルされた学会のウェブサイトで公開されています。学会員の皆さんには、こうした本学会の目標や使命などをぜひ知っておいていただきたいと思います。ウェブサイトで検索してご覧ください。
 ご承知のように、2019年6月に日本語教育推進法(正式名称は、日本語教育の推進に関する法律)が施行されました。そして、この6月には日本語教育機関認定法(正式名称は、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律)が公布され、2024年4月から施行されます。これまでもわたしたちは、日本語教育の発展と日本語教育研究の充実と発展に力を尽くし、一方で文化庁や文部科学省等の事業を受託し実施するなど社会に貢献する活動をしてきました。日本語教育推進法が施行され、日本語教育機関認定法が公布された現在、わたしたちが活躍できる機会が増えることが予想される一方で、わたしたち一人ひとりは教育実践や研究活動を通してさらに専門性を充実させていく必要があるでしょう。
 わたしが会員になった頃は、教育現場の「たたき上げ」の先生方と日本語学の先生方が多かったように思います。その頃と比べると、現在の学会のメンバーは当時にも増して多士済々で、そして「多種多彩」をもじって多種多「才」になっています。本学会が有する多士済々で多種多「才」なポテンシャルは、教育実践の面でも学術研究の面でも、今ちょうど花開こうとしているところのように思います。優れた教育実践とその蓄積、先進的で高度な学術研究、そして高度な専門性を基礎とした社会への貢献。本学会が有するポテンシャルを花開かせて、こうしたことを皆さんといっしょに進めていきたいと考えています。